デンタルニュース

歯磨き粉について

歯磨き粉、歯磨きペーストについて、質問を受けることがあります。

はみがきこ

近年歯磨き粉に入っている成分も目覚ましい進歩を遂げ、随分と効果の高いものが取り扱われています。
歯磨き粉の成分にはどんなものがあるか、ご存知ですか?

歯磨き粉を使いやすくペーストの状態から口に広がり使いやすくさせる湿潤剤、成分を均一のペーストにまとめるための粘結剤、汚れを浮き上がらせて落としやすくする発泡剤、歯を傷つけずに汚れを取る、研磨剤や、すっきり爽やかに感じさせたり、子供用に特別なフレーバーのある香味剤、虫歯予防に効果的なフッ素や薬品などの薬効成分、歯磨き粉の変質を防ぐための保存料などがあります。

歯磨き粉のパッケージに書かれているのでぜひ見てみましょう。
これらの成分がそれぞれに働いて、お口のトラブルを防いでいるわけです。

目的も、エチケットを重視するもの、歯ぐきの炎症をおさえるなどの歯周病対策のためのもの、タバコのヤニや着色などを取り除いたり、防ぐもの、フッ素を配合した虫歯予防に特化したもの、歯の黄ばみを防ぎホワイトニング効果を期待するものなど、たくさんあります。

これらの有効な成分が、魅力だとしてたくさん歯磨き粉を使うと、配合されている研磨剤によって歯が削れてしまい、しみることがあります。
また清涼感があるので、磨けていないのに、磨けているような気になってしまうという落とし穴があります。
長く磨こうとすると、口の中が泡だらけになって長く磨けないというデメリットもあります。

このような理由から歯磨き粉は優秀に進化していますが、使用量はごく僅かで、と指導することもあります。

また歯科医院で売っている歯磨き粉と市販の歯磨き粉の違いを尋ねられることもあります。
これはおもにフッ素などの医薬品に相当する材料の含有量の違いから、歯科医院で取り扱えるものとドラッグストアなどで取り扱えるものが分かれています。
フッ素配合といっても歯科医院であれば900ppmという濃度を含むものもあり、これは虫歯予防にかなり効果を期待できる量だと言えます。
スーパーなどで扱うものは純度や濃度などがまばらであったりするので同じ効果を期待することはできないと言えるでしょう。

歯磨き粉はすでに4世紀ごろのエジプトで塩やこしょう、アイリスの葉っぱを混ぜた粉などを使用したという記録もあり、人間の尿に含まれるアンモニアが歯を白くするのだと言われて使われていたとか。
アメリカでも焦がしたパンを歯磨き粉として使ったという話も残っています。
1900年ごろにはペーストタイプの歯磨き粉が発売されたといい、チューブに入った現在のような形状の歯磨き粉はアメリカのコルゲート社が1896年に販売したのが始めだと言われています。

日本では1600年を過ぎたころ、漢方薬を混ぜたものが歯磨き粉として販売されていた記録が残っています。
江戸の庶民もこれを使って歯ブラシのような房のついた楊枝で歯磨きを行っていたのだそうです。

そんな古い歴史を感じながら、今日から歯磨き粉を選びながら歯ブラシタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。