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歯は語る

東日本大震災において、身元の判明に歯科領域での判断が有効だったことが知られています。
多くの犠牲者を出したこの震災で、助かった方の口腔ケアだけでなく、残念ながらお亡くなりになられた方身元を判明するためにも多くの歯科スタッフが現地に赴きました。
その判定作業はとても大変なもので、死後硬直のあるご遺体と向き合う作業は辛かったと聞きます。

似たようなケースで殺人事件などがあって身元が分からない時、歯科医院に問い合わせがあることがあります。
どうやって身元の判明をしているかご存知ですか。
歯は語る
歯の数や生え方、方向や根の長さ、支える骨の状態や治療痕などが情報になります。
何番目のどこの歯にこんな治療をした記録の残っている患者さまは誰か。というような探し方です。
ご遺体のお口の情報を書き出して、歯科医院に照会すると身元が分かるということです。

実は歯は生前のその人の生活をしっかりと伝えてくれる組織の一部です。
飛行機事故などでご遺体の損傷が激しくても歯が残っていたために身元が判明することもよくあります。
骨と歯が一部残っていれば、年齢もだいたい推測できます。(もちろんDNA鑑定もありますしね)

歯の汚れ具合から喫煙者か、非喫煙者か、顎や歯の状態からだいたい性別などもわかります。
周辺組織の状態から歯磨きの程度、状態そこから歯への関心度の判断もできます。
何年くらい歯医者さんに来なかったかもわかるんです。
古代エジプト人が食べていたパンに砂が多く含まれていたということがわかったのもミイラの歯の鑑定によるもの。

時に化石となった恐竜の生活状況まで読みとることができるなんてびっくりしませんか。

草を好んで食べていた恐竜がどれだとか、歯の減り具合から恐竜が歯ぎしりをしていたなんていう習慣についても簡単にわかります。
ティラノサウルスが歯に詰まったものを掃除していたって知っていますか?

こんなふうに人間だけでなく、動物の生活習慣も手に取るようにわかるので、歯ってとても面白いんです。
サメなどは多歯性といって、水族館などで歯が水槽の下に沢山落ちていたり、旅行先のビーチでネックレスになっていたりするのですが、このように沢山歯が抜けては生える動物もいます。
生き物の歯の形でどんなものを餌としているかというのも推測ができる点も面白いところ。

なので治療の前の日だけに一生懸命みがいてきた人はもちろんそれがバレてしまいますし、まじめにまじめに歯磨きを長年続けていらした努力家の方も歯を見れば一発で見抜けます。
患者さまが何もおっしゃらなくても私たち歯科スタッフはなるほど、と歯から沢山の情報を読み取っています。